純喫茶みかづき

ほっとしたい昼。眠れない夜。常時、開店中です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

ドラマティック・レイン

もはや日本が日本という国をやめようとしているとしか思えないような雨が、ここのところ実によく降った。バケツをひっくり返したような、なんてよく言ったものだったがバケツどころじゃない、世界中の川の水を集めて一気に落としました、みたいな雨である。…

バーニンバーニン、俺の昼だよ

「もえ」ふと、ふすまが開く。「今日は俺が昼ごはん作るから」 土曜のお昼前。中学一年生になったばかりの私は、初めての定期試験へ向けてむつむつと勉強しているところだった。 「え!?」私はびっくりして振り返った。「いいの?」 焼きそばでいい?兄は、…

ペパーミント伝説

ムズムズする。 何がって、花粉の話である。 私はおよそ10年前、大学卒業を間近に控えた3月、突如として花粉症を発症してしまった。 「いやー、デビューしちゃったってやつですね」目玉が狂おしいほどかゆくなり、ついには角膜が卵の白身のようにアコーディ…

とどまるものたち

ちょうど一週間前、海へ行ってきた。幼少期を過ごした町の、観光地でもなんでもない海辺だ。 今年の花粉は昨年より多いというし、まださほど飛ばないうちに、一度は。連休も望めない中での、貴重な一日。古代ローマ帝国の襲来以上の、一年で最大の繁忙期。お…

バーニンバーニン、きみの昼だよ

これは私の強みでもあり、時として悲劇を呼ぶウィークポイントでもあるのだが、私はなかなかの貧乏性である。 過去にギンガム姐さんの過重労働やヴィッツの凄絶な最期について語ったが、それより遥か過去、私が学生だった頃にも悲劇は起きていた。 あれは上…

テーマフロム、トーホク。

悲報は突然、降ってわいた。 「おはようございます! 国道、バイパスとも大混雑のため、 杉山、まだ店にたどり着けていません。 出勤の際、お気をつけください(><)」 それは私の出発時刻5分前のことであった。そして、うちの店の開店時刻5分前のことでもあ…

ア・ハード・デイズ・ナイト

成人の日、なんて、まだね、昨日のことのように覚えてる。 小学校の同級生と久々に顔を合わせて、変わんないねー、とか、変わったなーとか。担任の先生と一緒にタイムカプセル開けて、とか。つつがなく、お決まりのあれこれが片づいていく中。 その日の夜、…