彼とYシャツと私
NHKの「チコちゃんに叱られる!」が大好きで、
もうこの番組を心の支えに生きていると言っても過言ではないのだが、
先日、少々なつかしさを覚えるテーマを扱っていた。
「シャツのボタンが男女で逆に付いているのはなぜ?」
朝食をとりながら再放送を背中で聞いていた中、
思わず振り返った。
なんて、なつかしい話だろう。
チコちゃんでこの話題を、取り上げてくれるとは。
「男物と女物で、シャツのボタンって逆なんだよ」
こう言い出したのは、我らがゼミの勇者、ちゃっきーだった。
ゼミの同期で教室に集まって、とりとめのない話をしているときのことだった。
「逆?」
「そう。着たときに自分から見て、
男物は右のほうにボタンがついてて、
女物は左のほうについてるんだよ」
ちゃっきーは自分のシャツを示して見せ、
私はちょうど着ていたブラウスを見下ろし、
同期みんなで「ほんとだー!」と盛り上がった。
「わー!ほんとだー!」
「ちゃっきーすごい!」
「全然気がつかなかったね~!」
私たち同期は、日常にひそむ小さな大発見に沸き立った。
気づきを得たときの喜びは、子どもも大人も一緒なのだ。
「えぇ~なんでだろ~!」
私が胸元を見下ろしながら言った、次の瞬間。
ちゃっきーおめぇぇぇぇぇ!!!!!
ほらじゃねえ!!!!
「ちょっと!!何すんの!!」
「いや…そこにシャツがあったから…」
そこに山があるからみたいな言い方するな!!
「ちゃっきーやだ~~!」
「サイテー!!」
女子軍団の猛烈な非難に遭いながら、
いや…ゴメンって…と笑うちゃっきー。
半分ドン引き、半分笑いの渦の中に消え、
真の理由はわからずじまい。
そのまま今日まで忘れ去られていた話なのである。
そうだそうだ、気になる。
いったいどうして逆なのか。
チコちゃんが見栄を切る。
「シャツのボタンが、男女で逆に付いているのは~」
ドドン!
「昔、女性は他人に服を着せてもらっていたから~!」
かくしてちゃっきーの説は、
当たらずとも遠からず、だったのである。