純喫茶みかづき

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レ・ミゼラブル

今年の、いや毎年の父の日について
図らずも気がついてしまったことがある。

 

お父さんの扱いが、ひどい。

 

ひどいもひどい、ひどすぎるのである。
そう言い切ってしまう背景には
決定的な比較対象が存在する。

母の日である。

 

毎年レジに立っていればわかる。
母の日といえば・・・

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ラッピングを依頼するお客様の目は
実に生き生きとしていて
おかあさんに贈るんだッ!
という前向きな決意を感じる。

 

対する、父の日はといえば。

 

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もう、雑。
もうやっつけ感がすごい。

 

品数が多ければいいとか、
安いからダメだとか、
そういうことでは断じてない。
心がこもってさえいれば
石ころひとつだって嬉しいものなのだ。

 

ただなんつうか、母の日のときと
明らかにモチベーションが違う!!

母の日には感じられたやる気みたいなものが
父の日からはさほど感じられない…!

 

 

この光景は、残念ながら毎年のように繰り返される。
5月6月と通して店先に立つ我々スタッフには
その温度差が手に取るように感じられ、
どうしてもその変化に気づかされずにはいられない。

 

 

とはいえ、
父のずさんな扱いは何も来店客だけに限らない。
スタッフの父の扱いもまた、
決して丁寧とは言いがたいものがある。

 

たとえば、ギフトセット。

 

〇〇の日、というイベント時には
売場に多数のギフトセットが用意される。


母の日の場合、
ギフトセットの相場は平均して3000円台である。
若者から実母へ、
嫁ぎ先の義母へ、など
想定されるシチュエーションに応じて
1000円前後のものから
中には5000円クラスのものまで幅広く存在する。
見た目も非常に華やかで
充実の詰め合わせ内容となることが多い。

 

ところが、父の日ともなると話が変わる。

 

ギフトセットを組むことに変わりはないのだが、
その予算が大幅に削減される。
相場はなんと1000円台とのおふれが出るのだ。
それも、最高でも1000円台。
なんなら1000円を切ってくれると
尚のこと安心、との向きさえある。

店長は伏し目がちにこう告げる。
「父の日は、間違っても高いのは作らないでください。
 売れないから」
嗚呼、お父さん。

 

 

価格設定だけでもすでに格差が生じているが、
ギフトを作成するスタッフのノリにも温度差が生じる。

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ひどい。

 

 

 

「ふしぎな国ですよね。
 男尊女卑とか言いながら、
 家庭での実質的ヒエラルキー
 断然お母さんのほうが上っていう」

父の日の3日前。
直前期にも関わらず
ぬるま湯のような半端な盛り上がりの中、
私はカウンターでぼんやりとつぶやいた。

この不可解さは、知る人ぞ知る。

 

 

かくいう私も、父の日でふざけ始める一人である。
ふざけ始めたその顛末について、それはまた別のところで。