純喫茶みかづき

ほっとしたい昼。眠れない夜。常時、開店中です。

なんてったってアイドル

師走だ。
今年もこの月がやってきた。

もうね、昨年とまったく同じ注釈になりますけど、
師走はうちの店の、一年で2番目の繁忙期にあたりまして。
師走イコール、クリスマス、
クリスマスイコール、戦。みたいな。
レジ前の、あの永遠に途切れなさそうな列とか、
ちょっとした城攻めみたいな風情を醸し出してる。

 

職場の方々にお配りギフトで、とか。
うちの孫にプレゼント、とか。
姪っ子に手みやげ、とか。
もう、攻める側も切実な事情があるわけで。
戦なんてたぶん、いつの時代も、そんなもので。

 

 

 

で、我が家もそれは他人事じゃないわけで。

 

 

 

平均年齢が、
アラサーを投入したところでもはや力不足で
余裕で50代をひた走る我が家に、
2年前、潤いをもたらすメシアが現れたわけです。

甥っ子です。

 

 

 

彼の情操教育担当として、
夏と冬に必ず、
絵本だとか画材だとかを贈ってきたわけですが、
さあ今年も冬が来たぞと。
師走が来たぞと。
私もまた、この戦乱の世に巻き込まれていたわけなんですが。

 

今回はどうすっかなー、
前回は絵本だったし、
去年の冬は乳児向けクレヨンだったし。
ブロックや積み木は、両親がすでに贈っているようだし。
どうしようかなあ。

 

そんなことを考えながら居間を通りかかると、
母がスーパーのチラシをめくりながら、

「あああ~どうしようかなあ」

とか言ってるわけです。
大きなため息をついて。

「どうしたの」と声をかけると、

 

「今度の土曜日、
 はるちゃんに、なに作ってこうかなって・・・」

 

 

母もまた、甥っ子にとらわれていた。
昼食のメニューで頭を悩ませていたらしい。
子守りならぬ孫守りに出かける際、
母が昼食をこさえて訪ねるのが常になっているのだ。

 

 

久々にキーマカレーにしてみたら。
なんて声をかけながら、
あー、私も、お弁当の材料、買い出しに行かなきゃ。
あれー、すりごま、これしか残ってない。
足りるかなあ。
あのレシピでどれくらい使うんだったっけ。

 

レシピのメモをまだとっていなかったので、

「ごめん、ちょっと分量調べるのに借りるね」

と何気なく、手近にあった母の携帯を手に取ったところ。

 

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もう母の心が2歳児に奪われたまま永遠に帰ってこない。
2歳児ラビリンス。

 

 

私は大笑いした。
思考を読むのがこんなに容易な検索履歴も、そうそうあるまい。

「ちょっと!チョロすぎでしょ!」
笑う私のそばで、「い、いいでしょ!」と顔を赤らめる母。
今の彼女にとって、甥っ子は脳内の9割を占めているといってもいい。

 

 

 

 

残り笑いを引きずりながら
スーパーへ出かけ、
帰るなり私も甥への献上品サーチを再開する。

そうして自分の携帯を開いて
ディスプレイに広がる光景に、
私は脱力した。

 

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チョロさレベルが、いっしょ。
私の心も、2歳児に奪われたまま帰ってきてなかった。

 

 

 

 

くだものとサツマイモが大好き、
最近のマイブームは、すべりだい。

はるちゃん、2歳。

 

チョロすぎる母のもと、
私もまた彼を前に、チョロすぎるのであった。